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●水着の歴史●
夏といえば海水浴をするものだというのが、現代の私たちの感覚かもしれません。7月ごろになると、百貨店では水着コーナーが特設され、雑誌では水着の特集が組まれます。しかし、実は海水浴の歴史はそう長くはありません。もちろん海辺で生活する人たちにとって、海に潜って漁をしたり、船で沖まで出たりするのは珍しいことではありませんでしたが、それは生活のためであり、遊ぶことが目的ではありませんでした。
では、海水浴の習慣はいつごろからはじまったのでしょうか。それは19世紀のヨーロッパだったといわれています。それ以前、18世紀のイギリスとフランスで、都会の男女がビーチに集まる習慣がはじまったという説もあるのですが、これは健康療法のためであり、遊行のためではありませんでしたし、海を泳ぐのではなく、足を浸ける程度だったようです。また、そのような次第ですから、水着といっても普段着とあまり変わらないようなものだったといいます。19世紀になると、泳ぐために海水浴をする風潮ができましたが、その際の水着は、街中を歩く衣服とそれほど変わりありませんでした。シャツとスカート、そしてモンペのようなズボン。この姿で水に入ると水着がまとわりつくので、泳いでもスピードは出なかったに違いありません。
現在の水着は体の線をくっきりと出すものが多いですが、それはなにもスタイルを誇示するためだけではありません。
水着が今のような体に密着するものに進化したのは、ある理由があるのです。
●水泳がオリンピックに●
水着が今のような体にぴったりとくっついたものへと変化するきっかけとなったのは、1896年のオリンピックで、水泳が正式に競技として認められたことでした。スピードをあげるためには水の抵抗を減らす必要があり、そのためには布が余っていてはいけません。そのようにして、水着は体のラインを露出させるものであるという見方が常識となりました。
その後、水着は、どのようにして波や摩擦の抵抗を減らすかという研究により、さまざまな進化を遂げます。たとえば、かつて水着はなるべく滑らかな布地で作るものとされていました。しかし現在では凹凸のあるほうが良いということがわかっています。
ご存じのように、生物は海から陸へと上がり、大きな進化を遂げました。魚が両生類となり、両生類が爬虫類へと進化したのです。爬虫類まではぬめぬめとした体をもちますが、それがさらに進化して鳥類や哺乳類となると、毛や羽毛により、水中での生活は適さなくなります。そう考えると、現代の競技用水着は、進化によって失われた魚類の機能を取り戻すために、開発が重ねられているともいえるでしょう。